Brand "JAPAN"
2009-07-08


先日のパリからシャルルドゴール空港に向かう列車は、異様でした。


東京のラッシュアワーのトラウマが蘇るOVER 200%の乗車率。

しかも乗客の大半が、コスプレ。


暑いし、コスプレイヤー達は既にハイになってるし、

本当に、なにか悪い夢でも見ているようでした。


はたして彼らは空港の少し手前の駅でで降りていったのですが、

その時車窓から見える風景は、ディズニーランドのオープン時間直前に

リゾートライナーから見えるそれみたいでした。確実に千は超えてた。

しかも大半が、コスプレ。


たぶんこれですな↓

『第10回ジャパンエキスポ』
[URL]


去年の参加者は13万4千人だって。

フランスでコスプレが流行ってると聞いたことはあったのだけど、

まさかこんな形で実感させられるとは思わなんだ。


でもま、見たところアキバの小太りメガネwith紙袋男どもよりも

もちっと健全そうな若者たちが、楽しそうに

お互いの装束を語らっているところを見るに、

日本のそれとは微妙に違う位置付けの遊びとして

フランスに受容されたのかもしれません。



だとすると、これはきっと喜ぶべきことなのであって、

もしかしたら後の世ではこれと、フランスの画家たちが浮世絵から

多大な影響を受けたことが、並べて語られちゃったりするのかも。

もしかしたらね。


日本発、フランス経由、世界行き。


好い流れじゃないですか。

そういえば甲殻機動隊が最初にウケたのもフランスだったかしらん?



こんなことを書くと、未だ脱亜入欧の卑屈根性でとうする!とか

お叱りをもらいそうなのだけど、もちろんそんなつもりはないのです。


ただ感じるのは、

我々は我々の国の世界の中での立ち位置をはっきりさせることを

今まで怠ってきていて、

おそらく未だそれを実行するスキルもノウハウも足りないということ。

その結果が、フランス経由、かと。


しばらく国外に居て、いろんな国の人々と接していると、

彼らの中で"JAPAN"のPerceptive Valueが、今でも意外なほど

高いことに気付きます。

"Made in Japan"の工業製品への信頼、和食への賛仰、

旅行先としての人気。

日本人である自分への世辞分を割り引いても、

他に比肩できる国はそうは無い程に多様な要素で評価されています。


この高い評価は、先人たちのひたむきな努力の賜物であることは

疑いようもないのですが、

その一方で、このほとんどは結果としてついてきたものであって、

意図して能動的にブランディングをして作り上げたものではないのも

事実かと思います。


そして、

残念ながら善意のみで成り立っているわけではないこの世の中では、

誠実正直に努力していればいつかは、、、という考えは

必ずしも保証されたものではないと思うのです。



海外の多くの"Japanese Restaurant"で、ただのマズい料理が

不相応な値段で提供されている現実は、

“和食”というブランドを共有資産と考えれば、まさに

経済学で云うところのThe Tragedy of Commonsで、

学問の示すところでは、究極的には、和食のブランド価値の崩壊と

顧客を含めた全関係者の利益総和の減少に向かっているわけです。



先人の汗で築かれた"JAPAN"というブランドは、

容易なFree Ridingへの対処を怠ることで

簡単に棄損する状況にあるし、


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